※販売店限定
蔵元:『飛囀』飛良泉本舗
度数:13度原酒
使用米:秋田酒こまち
精米歩合:55%
日本酒度:-36.0
酸度:3.2
アミノ酸度:非公開
使用酵母:きょうかい№77
平成29酒造年度(BY)より立ち上がった新酒銘『飛囀』は、
真面目な酒を不動の旗艦商品に据えて、
変わり種を折々で限定的に売っていこうと云う、
ポテチ的売れ方を目指していましたが、
酸に超特化した「鵠」、「䴏」など、
変態的商品が爆発的に流行り、当初のブランド構想は頓挫しました。
そこで5BYからは、シリーズ全体を酸に特化させる事として、
ピュレグミ的立ち位置に寄せます。
御蔵絶対の売りである山廃仕込みは当然として、
酸特化御用達のリンゴ酸高生成酵母「きょうかい№77」のみを使用する事が条件となりました。
そこでシリーズの貴醸酒である「鵆」もこれに則して醸そうとするのですが、
下記に説明する通り、
酵母にとって生き辛い環境に無理矢理置くのが貴醸酒です。
従って貴醸酒にはアルコール耐性が強い酵母が選ばれるのですが、
この「№77」は、アルコール耐性が弱い酵母です。
自らに課した不利過ぎる縛りの中で、何とか形に仕上げました。
また、これ迄の「鵆」には白麹を加えてクエン酸をアクセントにしていましたが、
白麹は「鵠」専用にしようと云う新たな縛りで、
別のアクセントとして特に旺盛な乳酸を出したタンクを仕込み酒に使っています。
~貴醸酒とは~
商標としては「貴醸酒協会」が所有しており、
商品名に反映させる事は難しいのですが、
仕込みをする際に、仕込み水の一部に酒を用いる手法の事を言います。
酵母は糖分を分解してアルコールを作り出す存在ですが、
自分たちが作ったアルコールで最終的には死んでしまいます。
水の代わりに“酒”を加えると、酵母にとっては生き辛い環境となり、
アルコール発酵力が弱まります。
その結果、糖分やアミノ酸が分解され過ぎずに残り、
甘みや旨味の多い、濃厚な味わいとなります。
カラメル、ヨーグルト、ヤクルト、蜜タップリなリンゴを思わせる、
甘酸っぱくてミルキーな風味、
口中に艶やかでボディのある甘酸が濃醇クリーミーにふくらみます。
喉の通りは軽やかで後味スゥーっと消え入ります。
特に旺盛な乳酸を出したタンクを仕込み酒に使った事で、
乳酸菌飲料を思わせるようなミルキーな酸味と、
時折顔を出してくるリンゴ酸の甘酸っぱさが特殊な世界観を形成しています。
温めるとカラメル的なコクが増え、燗戻しには果実感が目立ってきます。